営業テクニックで「アイスブレイク」というものがあります。
「アイスブレイク」をご存知でしょうか?
初めて会う人や商談相手には緊張してしまいますよね。
しかし、ビジネスですから「緊張してうまくいきませんでした」「きちんと話し合いができませんでした」では困ってしまいますよね。
そこでアイスブレイクという手法が活躍します。
この記事では
- アイスブレイクとは?どんなメリットがあるのか?
- どんな場面で使うと効果的なのか?
- 営業や会議、シチュエーションごとのおすすめのアイスブレイク
を紹介します。
そもそもアイスブレイクって何?得られるメリットは?
アイスブレイクは初対面の相手や商談相手と接するときに、緊張感をほぐして、その後のコミュニケーションを円滑にするための手法のこと。
緊張状態にある場の空気を「氷(アイス)」に例え、それを「打ち砕く(ブレイク)」という意味でアイスブレイクと呼ばれています。
人は初めの2~3分ほどで相手の第一印象を決める…というのは有名ですね。
その最初の数分間に「この人話しやすい」と思ってもらうことで、相手から信頼されやすくなります。
でも「信頼されやすくなる」と言っても、抽象的でわかりにくいですよね。
ここではアイスブレイクにより緊張をほぐしコミュニケーションを円滑にすることで、どういうメリットがあるのかご紹介します。
緊張を緩和することで、お互いに話しやすい環境を作る
研修や会議、商談などのビジネスシーンの冒頭には、緊張した空気がつきものです。
特に初対面同士の場合、重要な会議の場合や大人数の場合には更に緊張感が増します。
時間を掛けてお互いを知れば緊張はなくなる…というのは分かっていても、その時間がもったいないですよね。
そうした場面でアイスブレイクを挟むと、空気がリセットされ、全員が主体的に参加しやすくなります。
相手との相互理解を深め、共通点を見つけることが出来る
アイスブレイクでは相手との場を和ませると同時に、相手はどんなことに興味があるのか?何が好きなのか?を知ることができます。
例えば
- 最近のマイブーム
- 先週あった楽しかったこと
- 今月新しく挑戦したこと
- 業界の流れやブーム
相手の仕事以外の話を聞くことで、自分との共通点を探したり興味がそそられたり……
仕事やビジネスの相手として話すだけでは分からない情報を知ることで、より心的距離が近くなります。
相手に名前を憶えてもらえなくても、イメージや印象付けができれば良いですね。
例えば「A社のカラオケ好きなあの人」「B社の家庭菜園やっている人」なんて趣味や特技と一緒に覚えてもらえれば最高です♪
場の雰囲気をリセット出来る
アイスブレイクは会議や研修の冒頭でしか使えない訳ではありません。
長引いたミーティングや商談の途中にアイスブレイクを入れると、固まっていた雰囲気がリセットされます。
さらに、体を動かす動作も効果的です。
ずっと座り続けている会議の途中だと、心身ともにリフレッシュされ集中力が持続します。
会議の途中にお茶が運ばれてくるだけでも、根詰めていた空気が和らぎますからね。
このように場を仕切りなおすことが簡単にできることがアイスブレイクのメリットです。
それぞれのシチュエーションのおける使い分けとオススメのアイスブレイク
アイスブレイクは会議や研修、商談や営業、初対面、既知の相手、どんな状況でも使える汎用性の高いスキルです。
だからこそ、上手く使い分けが出来ないとその効果を十分に発揮できません。
アイスブレイクがデメリットとなるとき
相手が…
- 「自分の事を探られている」と感じてしまう
- 「無理に場を繋いでいるな」と悟る
- 「この時間無駄だな」と思ってしまう
このようなとき、相手との関係が悪化してしまいます。
そこでここでは、せっかくのアイスブレイクが無駄にならないよう意識すべきポイントを紹介します。
各シチュエーションにおいて「どういう目的でアイスブレイクをしたら良いのか?」を念頭に置いておきましょう!
社内会議や研修の場合
社内会議や研修では全員が盛り上がることの出来る内容がオススメ。
体を動かしたり、ゲーム性があったりすると良いですね。
ポイント
大人数が集まる場で自己紹介系のアイスブレイクを一人ずつ行うのは大きな時間の浪費になってしまいます。
参加人数が多いなか自己紹介系のアイスブレイクを行いたい場合、いくつかのグループに分けるなどの配慮が必要です。
さらに各グループに円滑に場を回すためのファシリテーターやタイムキーパーを決め、グループごとにバラツキが出ないようにすると効果的です。
オススメのアイスブレイク①:GOOD&NEW
GOOD&NEWとは文字通り、最近の良かったことや新しい体験をシェアすること。
各メンバーが感じた内容を述べるため、趣味や興味のある情報を知ることができます。
良かったこと・新しい体験談を伝え合うため、嫌な気持ちになることが少ないアイスブレイクです。
オススメのアイスブレイク②:社員クイズ
社員のプライベートなネタをテーマにしたクイズ大会です。
あらかじめ社員を対象におこなった趣味や特技などのアンケートをもとに、幹事が○×クイズや3択クイズを作成します。
これは幹事のパフォーマンス力も問われますね。
全体で盛り上がることができ、自分から話すのが苦手な方や話のネタがなくて困っている人でも参加しやすいです。
商談や営業の場合
商談や営業では、個人のプライバシーに関わるアイスブレイクやゲーム性が強いアイスブレイクは適しません。
取引先の相手も限られた時間の中で商談に応じているので、ゲーム性の高いアイスブレイクでは時間の無駄遣いをしているように感じてしまいます。
このような場合は会話の糸口となるトーク(業界の話、ニュース、季節の話など)や相手の会社や組織(人)のことを褒めるのがオススメ。
相手の興味を話題に挙げることで、相手が気持ちよく商談に参加することができます。
相手のことを調べてからミーティングに臨みましょう!
合言葉は「木戸に立てかけし衣食住」
この言葉は下記の言葉の頭文字になっています。
- キ:気候や季節
- ド:道楽(趣味)
- 二:ニュース
- タ:旅
- テ:テレビ
- カ:家族
- ケ:健康
- シ:仕事
- 衣:洋服(ファッション)
- 食:食べ物
- 住:住まい
これらは会話の糸口として非常に使いやすいので、ぜひ事前にリサーチしてみてくださいね。
どれかひとつ…ではなく複合して使うと効果的です!
例えば
天気が悪ければ…
「運送業や倉庫業だと雨天は作業が大変ですよね。○○運輸さんはいつも時間にぴったりで到着していますが、なにか秘訣があるんですか?」(気候+仕事)
「そう言えば、娘が△△アパレルさんのファンでして…夏の新作を買おうかどうしようか迷っていましたよ」(家族+洋服)
「最近涼しいですよね。テレビで知ったんですが、やっぱり冷麺はあまり売れ行きがよくないようですよ。温かい食べ物…肉まんやフライドチキンも割と売れているんだとか。夏に温かい食べ物なんて売れないだろ~と思ってましたが、いやはや自分が間違っていましたね」(気候+テレビ+食べ物)
初対面の人の場合
初対面の場合はまず自己紹介から!
可能であれば、事前に相手のSNSやHPに載っている情報を予めチェックしておきましょう。
基本的には、自己紹介のパターンをいくつか用意し、相手によって内容を変えていきます。
例えば相手が
- 学生→大学で学んでいたことや学外でやっていたこと
- 社会人の方→出身地や自分の興味のある業界
- スポーツ経験者→自身の運動履歴
- 読書好きな人→最近読んでよかった本 など
アイスブレイクはただ雑談をすることが目的ではありません。
相手との信頼関係を構築するという意図があります。
だからこそ、自分が話したい内容ではなく、相手が興味ある内容を話すようにしましょう。
オススメの自己紹介①:「実は○○」
自己紹介の際に「実は」と付けることで自分の秘密を相手に話しているように聞こえます。
普通に「○○です」と話すよりも相手の記憶にも残りやすいので効果的です。
オススメの自己紹介②:「プチ私情報ですが…」
これも①と同様に相手の印象に残りやすいのでオススメです。
プチと付けることで、軽い雑談のような雰囲気も出せて場の雰囲気も軽くする事ができます。
同じくらいの役職や年齢の人に使うのが良いかもしれません。
個人的には「プチ私情報」よりも「私個人は……」という言葉をよく使います。
例えば
「私個人が今ハマっているものは、パンダの動画を見ることでしょうか」
「会社全体で健康意識の向上に取り組んでおり、私個人としてはリングフィットアドベンチャーという運動ゲームを毎朝行っています」
「これは覚えておいて欲しいプチ私情報なんですが、エクセルはけっこう得意なので…なんでも聞いてください!」
など
既知の相手の場合
既知の相手であれば近況報告もオススメです。
- 会わなかった間、お互いどんな変化があったのか?
- どんなことを経験して今は何をしているのか?
など聞いてみましょう。
もし可能であれば前回話した内容の中で盛り上がった内容について触れてみてください。
相手のオススメしていた本や前回ハマっていたモノなど、以前話していた内容を覚えていると相手も喜ぶはずです。
オススメのアイスブレイク:チェックイン
これはGOOD&NEWと少し似ていますが、テーマを事前に決めてそのテーマについて1人ずつ話します。
何度もミーティングをする相手や、基本的に知っている相手であれば、自己紹介は不要ですよね。
最後に会ったときからの変化について触れると盛り上がることができます。
オススメのアイスブレイク:褒める
ゲーム性の強いものや協調性を仰ぐものは、ミーティングや商談に取り入れることが難しいときもありますよね。
既知の相手ですと「もう相手のことは知っているし…」という雰囲気も出ます。
そんなときは相手の最近の行動や成果を褒め、緊張をほぐしましょう。
例えば
- 「〇〇さんの資料はいつも見やすいですね。エクセルなどはどこで学んだのですか?」
- 「朝の挨拶がとてもハキハキしていて、いつも元気をもらっています」
- 「△△さんはいつも時間に正確なので、安心して任せられます」 など
この褒める・賞賛するというアイスブレイクは、自然と使っている人も多いですね。
アイスブレイクの失敗例【体験談】
ビジネスシーンで使うことも多いアイスブレイクは、失敗すると「気が利かない」「仕事ができない」とマイナスの印象を与えてしまいます。
ここでいくつか、私自身が経験したアイスブレイクの失敗例を紹介します。
応援するチームが違えば…
日本のビジネスマンに多いのがスポーツの話題です。
特にお気に入りの選手や応援しているチームがいれば、アイスブレイクの話題として使ってしまいがち。
でも、熱い感情が入ってしまうのが、スポーツを話題にする注意ポイントです。
そう、私の上司は熱心な野球ファン。
特にシーズンともなれば球場まで応援に行き、翌日には試合の様子を臨場感たっぷりに教えてくれます。
そして商談相手にも……あ!なんと相手は上司の応援チームのライバルチームのファン!
商談中もなにかと競う・比べる・比喩する、とビジネスマンらしからぬ熱い応酬となりました。
(けっきょく、詳しいことはメールで後日詰めることに)
自身のスポーツの話題は問題ありませんが、スポーツチームやスポンサーがいる選手の話題は注意しましょう。
他にも宗教や災害などの話題は避けたほうが無難です。
テキトーに褒めてるの……?
相手を褒める場合も、なんとなく賞賛するのは止めておきましょう。
特に「知っていて当たり前」の内容を褒めると、相手から「何言ってんだこいつ?」と思われます。
これは私の体験談。
マクロを組み、ボタンひとつで資料が完成するエクセルツールを私が作りました。
そのツールで作った資料の印刷を後輩に任せていたところ、それを見た上司が「こんな資料を作れるなんてすごい!」「きみにはパソコンの才能があるね!」と褒めだしたのです。
その言葉はおそらくアイスブレイクのつもりだったようで、その後は本題に移ったようですが……
後輩曰く「このツールを作ったのは小島さんだって朝礼で発表されたのに、なに言ってるの?」と。
(ちなみに私の席もコピー機の近くなので「なに言ってるんだこいつ?」と思っていました)
褒める場合はしっかりと正確に褒めましょう。
これはぶち切れ案件ね
会社や相手によっては、評価=ボーナスや給与査定に響きます。
さらに「部下の仕事や功績を正しく把握していない」とマイナス印象なので注意しましょう。
状況と相手によって使い分けるとより効果的に
アイスブレイクは状況によって使い分けるとより効果を発揮します。
- 相手がどんな相手なのか?
- どういうシチュエーションなのか?
- 時間はどれだけあるか?
- 準備(アンケートや下調べなど)ができるかどうか?
場の雰囲気を明るくすることで、会議が活発になったり商談が上手くいったりするケースは多くあります。
状況と相手によって上手く使い分けてより良い人間関係を構築してみてください。